【有料会員限定】ロバはペア・ボンド(Pair-bonds)を形成する

ロバは特定の個体と個体が、強い結びつきを持つ「ペア・ボンド」を形成する特性を持つ

イギリスのロバ保護団体「ドンキー・サンクチュアリ」のメールマガジンの記事から、気になるものをピックアップして紹介していきます。今回は、ロバの特性である「ペア・ボンド」について、そしてその特性に配慮した飼育環境をどのように整えているかという実践について。

ロバ同士が強いペアボンディングを形成するという考えは、何世紀にもわたりロバ飼育者たちの間で常識とされてきたが、この理論を証明する観察可能な行動が最近の研究で特定されるまでは、主に逸話的なものにとどまっていた。
研究により、ロバは強い持続的な友情グループを形成し、高い寛容性と親和行動を示すこと、また絆で結ばれたロバを分離すると、しばしば渇望行動や食欲不振という形で極度の苦痛を引き起こすことが確認された。

The idea that donkeys form strong pair-bonds with other donkeys has been common knowledge among donkey owners for centuries, but remained largely anecdotal until recent studies began to identify observable behaviours that proved the theory.
The studies confirmed that donkeys formed strong and long-lasting friendship groups that manifested as high-tolerance and affiliative behaviour, and that separating bonded donkeys often caused extreme distress in the form of pining behaviour, and loss of appetite .

https://www.thedonkeysanctuary.org.uk/articles/what-is-pair-bonding-in-donkeys?utm_campaign=autumn_solus_october25&utm_medium=email&utm_source=dotdigital&dm_i=7VGG,2A4SZ,4EANZ1,4CZUN,1

尾道ロバ牧場にはいくつかのスペースがあるが、メスが数頭で一緒に暮らしていた

記事では、ドンキーサンクチュアリにおけるペア・ボンドの事例を複数紹介されるとともに、同施設ではペアの関係が確認された場合、救助やケアにおいてその関係を考慮して計画が立てられると記載されている。また、治療を行う病院においても、片方が治療・療養をしているときに、ペアの片割れが入室できるスペースを設ける工夫をしていることが報告されていた。関係を結んだロバたちは、基本的にともにあり、くっついていないときにも、お互いが視界に入るような位置関係で生活するという。また、事例の一つによれば、関係は二個体においてだけでなく、数頭で結ばれていることもあるようだ。

別の研究は次のように要約している:「家畜ロバにおけるペア・ボンドと群れ形成は、その社会組織の主要な特徴である。ペア結合が成立した場合、その二頭は互いを個別に認識でき、常に近くにいることを好む」

当団体の福祉担当者は、保護したロバ同士の絆の兆候を見極める訓練を受けており、回復・リハビリというストレスの多い過程においても、仲良し同士を一緒に保つよう配慮している。

上級ロバ福祉アドバイザーのハンナ・ブライヤーは次のように述べる:「絆で結ばれたロバは通常、鼻を触れ合うほど近くに寄り添って草を食む。片方を移動させると、もう片方も追いかける。分離されると、彼らは興奮状態になり、呼吸が荒くなったり、歩き回ったり、地面を蹴ったり、仲間を探すために鳴いたりします。こうした苦痛のサインに加え、ロバは分離によるストレスに対して、最終的には餌を食べないことで反応し、それが高脂血症という致命的な状態につながることもあります。」


記事の中で、心に残った・・・心がざわついたのは、ロバの安楽死と、そのペアについての記述の部分である。

絆で結ばれたペアの一方が安楽死された場合、ロバ保護施設では、その仲間が無駄に友人を探し回らないよう、遺体と過ごす時間を確保することを推奨しています。ヴィッキー・グローブは、2度にわたって極端な反応を目撃しました。「このような反応はごくまれですが、どちらの場合も、仲間のロバは、友人の耳や体を前足と歯で引っ張ったり押したりして、目を覚まして立ち上がらせようとしていました。さらに恐ろしい鳴き声をあげたのです。胸が張り裂ける思いでした」

反応を目撃した、と書かれた内容は、まさに、ミミオレが、硬直が始まったあと、そして亡くなった後も、ラテに対して示した反応と同じだった。ラテを埋葬した後、2〜3日、探し、そして鳴き声をあげていた。私も、胸が張り裂ける思いだった。この記事を読んで、手遅れだが、遺体と過ごす時間を確保してあげればよかったと思った。まだ暑い季節だったし、遺体が傷むこと、虫が湧いてしまうことなどを考え、すぐに処置することを優先してしまった。そのほうがラテにとっても、弔いになると感じた。だが、ロバの目線では違った。遺体とともにあり、悼む時間を充分にとってあげることが、ミミオレにとって必要だったのだと知った。失敗ばかりだが、一つずつ学んでいくしかない。自身の経験と重ね合わせ、とても勉強になる記事だった。
いつか、この施設に学びにいきたい。そんな思いを強くした。

引用は全て、冒頭に示したドンキーサンクチュアリの記事から。再度元記事URLを掲載する(閲覧日:2025年10月23日)
https://www.thedonkeysanctuary.org.uk/articles/what-is-pair-bonding-in-donkeys?utm_campaign=autumn_solus_october25&utm_medium=email&utm_source=dotdigital&dm_i=7VGG,2A4SZ,4EANZ1,4CZUN,1