【会員限定】ミミオレ、初めての疝痛(せんつう)。ロバと疝痛の話

当日のミミオレの様子。じっとして、動かない。何となく顔にも元気がない

ウマ科の動物にとって、最も多く、最も注意なければいけない病気が、「疝痛(せんつう)」、つまり、「お腹が痛い!」である。

「ウマの場合には、お腹をこするように後ろ足をを掻くような動作が見られる、けれども、ロバは馬よりも我慢強く、痛みを隠すようなのでわかりにくいかもしれない」と獣医の先生から聞いていた。

そして5月17日、ミミオレが初めて、疝痛になった。

疝痛(せんつう)Colicとは?

The Donkey Sanctuaryによれば、Colic(疝痛)とは以下のような症状のことだ。

腹部の痛みの症状で、主に胃や腸などの消化管に起因します。腎臓・卵巣・膀胱の痛みが原因になることもあります。

腸の詰まり(未消化の食物・異物・寄生虫による)

腸壁の筋肉痙攣(痙攣性コリック)

ガスの蓄積(ガス性コリック)

腸の捻転(ねじれ腸)

胃潰瘍・腫瘍・膵炎などの有痛性疾患

出典:The Donkey Sanctuary「Colic in Donkeys」(2024年8月更新)

前日くらいから、かなり気温の高い日が続いていた。水が不足していないかな、と少し心配だったが、仕事が立て込んで日中はほとんど様子を見にいけない。このときは、ガスパルとの同棲生活最終日でもあった。朝、昼と、ガスパルと一緒に草を食べながらウロウロしている様子がチラリと見られたので、水大丈夫かな〜と思いつつ、そのままにしていた。15時ごろ、ひと段落ついて、水を見にいく。二頭にそれぞれ1個ということで、2個のバケツを満たしていたが、1個のミミオレお気に入りの水色のバケツの水は残りわずか、水深1cmほどになっていた。まずいまずい、と急ぎ新鮮な水でバケツを満たす。

ふと見ると、ほとんど1日中はむはむと草を食べ続けて歩き回るのが常のミミオレが、炎天下の下、じっと止まって佇んでいる。もしや熱中症?水が足りなかった?と心配になり、バケツと鉱塩を彼女のところに持って行ってみる。しかし変わらずじっとしている。大好きなカヤを口元に持って行っても、興味を示さない。これはおかしい。もしかしたら、疝痛かもしれない、獣医さんを呼ぶべきかもしれない。

LINEで画像、動画などを送りつつ獣医の先生に相談する。翌日午前中、来訪可能だという。遠方から来てもらうことになるのでお願いするかどうか判断するためにも、じっと観察する。

口をもごもごして、あくびのようなものもしていた。生えている草の匂いをふんふんと力なく嗅いで、食べない。水も、塩も、近づけても飲まない、舐めない。そしてじっとしている。明らかに、元気はない。歯に何か挟まっているのかも、と口を開こうとするが、嫌がって歯を食いしばり、うまくいかなかった。歯茎の色や湿り気で判断できる、とAIが言っているが、やや白い気はするし、いつもより湿り気が少ない気もするが、明らかに、と言うほどではなかった。

ロバ飼い二年生の私たち、「これくらいなら大丈夫」という確信を持つことはできない。やはり獣医さんに往診をお願いした。

診察結果は疝痛。点滴と痛み止めで治療

翌日朝。いつもより早くミミオレの様子を見に行く。いつもなら、車が近づけば私が来たことを察知し、小屋から出てきて出入り口付近でスタンバイするが、今日は小屋の中から出てこなかった。近づいていくと、ゆっくりと外に出て来た。

これまでミミオレは放牧場で過ごしていたので、獣医さんに訊ねられた「フンは問題なく出ているかどうか」に、はっきりと答えることができなかった。放牧場の敷地は広くて、たくさんのウンチポイントがある。しかも昨日まではガスパルも一緒にいたため、どちらのフンなのか判別できなかったのだ。そこで排泄がわかりやすいよう、昨晩から裏の小屋に戻した。

いつも通りの形状のフンが、ミミオレのウンチポイントに残されていた!よかった。まずは安心材料。ただ、量は若干少ないように感じる。

朝方は歩いてゆっくりだが草を食べたので、昨日よりも少し回復した気もしたが、獣医さん到着前一時間くらいになると、やはりじっと佇み、動かなくなった。

獣医さん到着。やはりこれはおかしいですね、とのこと。よく気がつきましたね、と言っていただいて、異変に気づくことができたこと、飼い主としての責任が果たせたことに、まずは安堵する。

触診、検温、聴診など一通りを終えて「原因はわからないが、疝痛で間違いない」との診断結果だった。お腹からゴロゴロと音がしていて、これは腸がなんとか動こうとしている状態を示しているのだろうということ。お腹の上部、背骨との間の凹んでいるあたりを押すと、急に嫌がることからも明らかだという。ただ、排便はしているので、疝痛の中でも命に関わる腸閉塞ではないだろう。寄生虫の疑いもあることにはあるので、フンを検査して、本当にまずい寄生虫がいるかどうか調べていただくことに。結果は翌日以降になるという。

生理食塩水の点滴、ビタミン剤の点滴、痛み止めの注射、これらの治療を行なっていただいた。点滴をするのは、上腕の上のあたりだった。ミミオレは無口を紛失していたのでガスパルのものを借りるが、大きすぎて外れてしまい、獣医さんがヒモでサッと無口を作ってくださって、小屋に括り付ける。

ミミオレは時折動きたがるが、概ねじっと点滴を受けてくれた。私はいなくてもよかったけれど、心配だし、落ち着くかなと思って、撫でてそばにいてあげることにした。

1時間も経たないくらいだと思うが、治療を完了。痛み止めと元気のでるビタミン剤の効果で、終えるとすぐに動き始め、何事もなかったかのように草を食べ出すミミオレ。

獣医さんも苦笑いで「少しくらいは草を食べる量を減らしてほしいんだけどな・・・」とおっしゃっていた。

痛み止めが効いているからあんなに動けるのだと思う、24時間後にどうなるか。もし、二十四時間後、またじっとしてしまうようなら、また同じ治療を繰り返すことになるだろうとのことだった。

疝痛の原因ははっきりとはわからないとのこと。ガスパルとの同居生活のストレスが、後から来た、ということも考えられるそう。ウマの体内には抗酸化物質(ビタミンEやミネラルの一種セレン、ビタミンCやオメガ3脂肪酸)が蓄えられているが、ストレスを受けることでだんだんそれが減っていく。2ヶ月の生活で抗酸化物質が底をつき、身体の症状に出たのかもしれない。

春先の、とくに朝方の青草は、糖分が高すぎるので注意したほうが良いという話もあり、そのせいだったのかもしれない。糖分(とくに水溶性)の過剰摂取は、腸内環境を悪化して酸化ストレスを引き起こし、腸の細胞を傷つけて、腸が正常に蠕動運動できない状態となってしまうという。昨年大丈夫だったからまあ問題ないかなと思っていたが、今年は朝方に刈った青草も、自然に食べる草に加えて与えていたので、それがよくなかったのかもしれない。

結局、ミミオレは翌日も元気な状態をキープ。寄生虫もいなかったとのことで、ほっと胸を撫で下ろすことになった。

やはり、動物というのは何があるかわからない。放っておいても気になって見てしまう私たちではあるけれど、やはり毎日しっかり観察をして、できるだけブラッシングしてあげるなどして、「異常」を察知できるようにしておかねば、と気を引き締めた疝痛事件だった。